Jan 28, 2011
レンタルサーバーを選択すると、目的を明確にしましょう
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藤田正美の時事日想:
首相のいすに執着する菅直人氏。しかし彼を批判すると必ず「反論」が出る。その1つは、「菅さんをおろしたところで、いったい誰がうまくこの事態に対処できるというのか」というもっともなものだ。
残念ながら、これに答えるのはなかなか難しい。すぐに思い当たる議員が民主党にはいない(もちろん自民党をはじめとする野党にもいない)。どんどん首相が代わるので、次のリーダーの「製造」が間に合わないような感じさえする(「粗製濫造」そのものと言ったらあまりにも失礼というものだろうか)。
「この人ならという人材がないのならば、菅さんでもいいのではないか」という「消極的支持」の人が意外に多い感じがする。それでも、あえて言おう。自民党が言っていることに賛成するわけではないが、「菅さんを総理の座に座らせておくことは、日本にとってマイナスだ」と。
あの3月11日から100日ほどが過ぎた東北に行って来た。南三陸町、気仙沼市、陸前高田市、大船渡市と駆け足で回った。確かに一面のがれきだったところも、道は確保されていた。流された橋も一部は自衛隊によって仮の橋がかけられていた。大きく迂回しなければならないところもあったとはいえ、自動車による輸送力はずいぶん回復したはずだ。
しかし、がれきが片付いたわけではない。とりあえず置けるところに集めただけである。分別も始まっているようだが、それもごく一部のように見受けられた。普段ならゴミ処理といえば自治体の仕事なのだが、行政主体そのものが被災しているところも少なくない。これではがれき処理もなかなか進まない。大船渡駅前の繁華街などは、道は何とか確保されていても、がれきはまだ大半がそのままだった。
がれきの処理ができなければ、土地の測量だってできまい。土地の測量ができなければ、政府が土地を買い上げると言っても、簡単ではない。自動車の所有者が分からなければ、いかに壊れていても処分できないのと同じことである。だからこそ政府が先頭に立って、処理方針を示さなければならない。
それなのに、政府はようやく復興基本法を成立させただけである。これによって復興庁の新設やら復興特区の制定、復興債の発行などが方向として示されたが、具体的にはこれからだし、新しい法律も必要になる。つまり、ようやく入り口に来ただけなのである。
もちろん東日本大震災が未曾有の大災害であったことや、東京電力福島第一原発の事故が重なったことなどで、政府の対応が遅れたということもあろう。しかしいちばん大きな問題は、目の前のことをあれこれと「食い散らかす」菅首相の姿勢なのだと思う。
思い出してほしい。2010年の参院選の時、菅首相はいきなり消費税増税を打ち出した。しかも「自民党案を参考にしながら」と責任を転嫁するような言い方をした。そして参院選で大敗北を喫すると、「強い経済、強い財政、強い社会保障」として、税と社会保障の一体改革を唱えた。さらに鋤メ浜で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)ではこれまた唐突にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加検討を打ち出した。そしてまた、この2011年度予算では過去最悪の国債発行をすることにした。
●復興を軌道に乗せることが第一
もともと財政再建が必要だというのであれば、本来2011年度予算はその方向性を打ち出さねばならなかったはず。明らかに財政支出のカットをしなければならなかったのである。しかし支持率を気にする(というより首相の座に固執する)菅首相は、評判の悪い財政支出のカットをできなかった。国債発行は前年を上回らないというので精一杯だったのである。つまり、財政再建をどれほど重要だと考えているか、よく分からないのが菅首相である。
民主党は本来的に財政支出を縮小するのは苦手な政党だ(社会民主主義的な側面を持っているからである)。それだからこそ、首相が強いリーダーシップを持っていなければならなかったのに、「日和見主義者」あるいは「ポピュリスト」である菅首相には無理な相談だったと思う。
実際、税と社会保障の一体改革では、最も肝心な社会保障への切り込みはまったくと言っていいほど見られない。持続可能な社会保障にするためには、団塊の世代が対象になり始めるこの時期に、社会保障を切り詰めることをしないと、それこそ「歴史への反逆」になりかねないのに、そこに手をつけなかった。
今、菅首相が食いついているのは再生可能エネルギーを電力会社に買い取らせる法案である。もちろん自然エネルギーの促進は世界の潮流でもあり、日本の産業という観点からも重要な課題だと思う。しかし、震災復興と財政再建という焦眉の課題、それも極めて切迫している課題があるときにやることだろうか。それも自分の「辞任」を引き換えに会期を延長させることまでしてやる価値のある法律なのだろうか。
何よりも今は復興を軌道に乗せることが第一。そのために政治ができることは超党派の協力体制を構築することである。もちろんそれは「大連立」などという大仰なものである必要はない。復興協力内閣であればいいだけである。これから1年間という限定でやればいい。その間、意見が対立するような案件は棚上げにしてもいい(ただし財政再建だけは道筋をつけなければいけないと思う)。そういう時に、支持を得られそうな政策を漁るようなリーダーは百害あって一利すらない。
もっとも権力の座にあることがすべてである指導者には何を言っても通じない。それは歴史の示すところでもある。復興どころか、この大震災が日本という国が坂道を転げ落ちる転機になってしまっては犠牲になった3万人の人々は浮かばれない。
【藤田正美,Business Media 誠】
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